英ポンド/円相場は、125円台中盤まで軟化する展開。特にポンド独自のネガティブ材料などは見当たらないが、欧州債務不安の蒸し返しが嫌気され、ユーロ相場に連動安になっている。早期金融緩和観測の後退は支援材料だが、それのみでユーロ安に逆行してポンドを買い進むまでの勢いも無かった。
ポンドの独自材料に乏しい中、消去法的にユーロの動向が注目を集めている。銀行監督の一元化を巡る独仏の意見対立、スペインとイタリア債の入札不調、スペインの銀行救済問題の先行き不透明感などを手掛かりに、欧州不安が蒸し返されていることがユーロ同様にポンドの上値を圧迫している。独Ifo景況指数が5ヶ月連続で低下したことなどもネガティブ材料となり、欧州関連資産からの投機マネー流出傾向が加速している。欧州債市場の動向を見る限りはパニック色はないものの、ここにきて下げ止まっていた欧州債利回りが上昇傾向に転じていることもあり、ユーロ安に連動してポンドも売られ易い地合になっている。
9月20日に発表された8月英小売売上高は前月比-0.2%となった。ロンドン五輪の影響もあって、家計消費が抑制去れたことが確認できる。イングランド銀行(英中央銀行)は19日に、エネルギーの値上がりが消費を圧迫する可能性を指摘したが、今後も低調な数値が続く可能性が高い。27日には4~6月期国内総生産(GDP)確定値の発表を控えており、ここでも大幅な悪化が示されると、再びイングランド銀行の追加緩和観測がポンドの上値を圧迫する可能性もある。金融政策委員会(MPC)内では、ややハト派色が強くなっているが、経済指標の悪化傾向が確認されれば、改めて追加緩和の思惑が広がることになるだろう。
今後1週間の予想レンジは、124.00~127.00円。